読み耽り書き散らすのが理想の生活

ネット的世界の端っこで考えたことを書き留めているだけのブログ。

チャレンジからどこで撤退するか

いきなりで恐縮ですけど。

 

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資格とかアフィリの売上とかサイトのPVとか、目標を立ててそれに向かって、なにかのチャレンジをしていることがあると思います。 

うまいこと達成できればいいんですけど、もしも武運つたなく目標が達成できなかったとき。どこで辞めるのかっていうのは結構難しい問題ですよね。

心が折れてしまったり、モチベーションが保てなかったり。自分以外の要因だったら、パートナーや周囲の人からの風当たりがきつくなったり。あるいは、生活費が尽きたりとか・・・。

ざっくりと自分の要因、周囲の要因、状況的な制約といろいろあります。

ここまで頑張ってきたのに諦めるなんてとんでもない・・・、という考え方もあると思います。

実際のところは要素がいろいろあってケースバイケースだっていうのが正しいんでしょうけれど、けれど、そういう切羽詰まったときに、「どういう考え方で臨めばいいか」をさっくりお話したいと思います。

 

相場で言ったら損切りの場面

 

仮想通貨でも株式でも、当たり前ですが相場モノは予想が外れることがあります。

もちろん買うときは予想があたると思って買うのですが、でも皆さん予想が当たっていたらみんな億万長者ですよね。だから、予想は外れることがある。これは避けられません。

問題は、外れたときにどうするか、ということです。たとえば、あがると思って購入した仮想通貨が下がり続けている。

急いで売る。しばらく様子を見てから売る。ずっと持っている。行動の選択肢はそう多くありません。どれが正しいでしょうか。

実はこれ、行動の根拠を、相場が下がったときに置くと、答えは出ないんです。

行動の根拠の大半は、その銘柄を買ったときに置いておくべきなんです。

 

そもそも銘柄を選んだとき、どんな作戦だったか思い出そう

 

銘柄を買った時に、短期取引のつもりで買ったのか、それとも長期取引のつもりで買ったのかを思い出します。

短期取引だったら、直近であがると予想していたわけですから、売る=損切りするのは正しい判断の可能性が高そうです。早めに売れば多くのお金が戻ってくるので、反省して、別の銘柄で取り返せるでしょう。

長期取引だったら、価格が下方変動することもある程度、予想の中に織り込んでいるでしょう。それが直近か中期レベルかの時期だけの話です。貴方は長期でもっと大きな利益を狙っているはずですから、ちょっと下げたぐらいで損切りするのは、判断が間違っていると言えそうです。気の迷いですね。

 

撤退ポイントをあらかじめいくつか想定しておく 

 

相場にかぎらず、計画を立ててチャレンジ進めていくとき、まず勝ち筋を想定します。

そして勝ち筋とは別に、いくつかシナリオが想定できると思います。その中で「こうなったら終わりだな」というバッドエンドシナリオも想定します。

簡単な例を考えてみましょう。

「アフィリサイトを運営だけで生きていくチャレンジをすることに決めた。貯金450万円スタート。生活費は切り詰めて年間200万円」という例です。

まず、チャレンジリミットが自然と2年になりそうですよね。

2年経って芽がでなければ、貯金から2年分の生活費を引いて残り50万円。バイトを探す期間もいるので、貯金額50万円(例題だと3ヶ月生活できる資金が残るポイント)が撤退するポイントになるでしょう。

あるいは、2年目終了の時点で累計150万円稼げていたとすれば、年間生活費と同じ200万円の貯金がある計算になります。アフィリサイトを継続すればもうちょっと稼げそうですから、少なくとももう1年、バイトなしでチャレンジを延長できそうです。

 

 計画を基準にして、鳥瞰的に捉える

 

あまり綿密に作戦を立ててもその通りに行かないものですが、それでもざっくりとしたものは必要です。

あまりに行き当たりばったりだと、バッドケースが発生したときに、それが撤退すべき重要な分岐なのか、それともただのノイズなのか、あるいはどうしても超えなければならない大きい試練なのか、見分けがつきません。

チャレンジを長く続けていればいるほど、目の前のことにとらわれてしまいがちです。そんなとき、最初の計画に戻って、計画を基準に視点を鳥瞰的にすると、自分が今どこにいて、何をしなければならないか、意外に見えてくるものです。

 

 

 

 

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

チャレンジしている人には頑張って欲しいけれども、ただ頑張れっていうのも無責任なんで書いてみました。

 

 

仮想通貨は今後もゆっくりと社会に浸透していく

 

仮想通貨が暴落して、今後どうなっていくのか? という話題をネットで見かけます。

 

結論から言えば、わたしは楽観派です。大きな相場の上がり下がりを繰り返しながら、新しい技術は実際の生活にゆっくりと浸透していくと考えています。

 ちなみに、仮想通貨が円に置き換わるとは想定していません。仮想通貨群が、「コミュニティごと」に、「並列して」存在するようになると考えています。仮想通貨がコミュニティごとの価値観を強化する役割を果たし、資本主義経済に代わる、価値経済を促進してくれると期待しています。

 

taftaftaf.hatenablog.com

 

 

実際、仮想通貨は昨年から良く日経新聞に出てくるようになりました。

 今日の日経新聞にも仮想通貨の話題が3つも出ています。自動取引で株安を増幅したというトップニュースに並び、一面コラムの春秋にはビットコインの話題。NEM盗難事件の続報では北朝鮮の関与が疑われること。それから仮想通貨取引の納税の話題。

 TVで取り上げられるようなキワモノ扱いではなく、経済要素のニューカマーとして、きちんと取り上げられるのを感じます。きっと日経編集部のメンバーは仮想通貨投資をしているんでしょうね。

 

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ところで。

今、わたしたちの生活にはスマートフォンがあり、この1台があれば、インターネットを介したメールだけでなく情報収集や商取引が出来てしまいます。

もう当たり前で手放せない機能ですが、携帯電話でのインターネット取引の先駆け となったiモードが世に出たのが1999年。スマートフォンの普及を強力に推進したi phone 3Gの発売が2008年。これだけわかりやすく便利な技術も普及に至るまで9年かかっています。

 

わかりやすく10年スパンと見ていいと思います。フィルムカメラがデジカメに置き換わったのも、そのくらいのスパンでした。

 

 

そういうわけで、仮想通貨の主要な出来事の年を抜き出すと……。

 

ビットコインの論文発表が2008年、リリースが2009年、10000ビットコインでピザを買えたのが2010年。

イーサリアムは構想発表が2013年、リリースが2014年。

そして仮想通貨群が暴騰と暴落を繰り返して、名をあげたのが2017年。

 

 とりあえず、着実に前には進んでいるのがわかりますね。イーサリアムのリリースから10年後にあたるのは2024年なので、そこまで見守るのも面白そうです。

 

ユースケースキラーアプリが噛み合えば、その前進は指数関数的な速度になるでしょう。プラットフォーム系仮想通貨は、そういうポテンシャルがあります。

 個人的には、特にイーサリアムに期待しています。うまく行ったらとても面白いことになりそうですよね。

 

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最後に、日経に出ていた仮想通貨取引納税のウソ・ホントをシェアしておきます。

ネットだと税金のような国家制度に関わる情報は、意外にちゃんとしたものが取りにくいと感じていたので、ちゃんとした新聞でまとめて記事にしてくれると助かりますね。

 

<仮想通貨のと税のウソ・ホント>

1.取引には税金がかからない→ウソ ※ 換金や商品の購入時に、取得額と時価の差額に課税

2.海外の交換事業者を使えば非課税→ウソ ※ 日本に住むなら日本に納税

3.仮想通貨同士の交換でも課税→ホント ※ 価値が確定したとみなされる

4.少額なら申告不要→ホント ※ 所得20万円以下なら申告不要

5.損失を給与所得と相殺できる→ウソ ※ 同じ雑所得のみ通算できる

6.分裂で手にした新しい通貨は課税されない→ウソ ※ 取得時の価格はゼロ。換金などで課税

(2018年2月7日 日本経済新聞 記事より抜粋)

 

2018年(平成30年)の確定申告期間は、2018年2月16日(金)〜3月15日(木)です。

国が仮想通貨クラスタに割と優しいのは、納税の姿勢を見せているためだと思っていますので、真面目に義務を果たすことにするとしましょう。

 

 

 

 

 

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

ちなみにわたしはまだ税金計算が終わっていません。来週末には必ず・・・。

 

 

批判は何も生み出さない

 「はれのひ」の被害にあった新成人のためのリベンジ成人式。

 

本日2/4開催。約200名が参加、晴れ着・記念撮影にクルージングまでおまけが付いたこの試みは無事に終わったようです。

 

 

 見苦しい詰問と謝罪の応酬よりも、直接問題を解決した方が良いに決まっていますよね。新成人には良い思い出と良い大人の背中が見せられたのではないでしょうか。

 企画し、実行した西野さんは、ただただすごいですよね。(費用負担は自腹の予定だったのが、協賛企業が入ったため、費用負担額は多少圧縮されたようです)

 西野さんなら、お金がなかったとしても、クラウドファンディングなどを使って、なんとかしたでしょうしね。影響力の正しい使い方。憧れますね。

 

 

 

 

 

 

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

昔よりも犯罪件数は減っています。豊かになれば善意は増える。社会は思ったよりもバージョンアップされているのかも知れませんね。

 

コインチェック ハッキング騒動 Δ5 3/22 LSK, FCT通貨出金可能に 

国内で人気のある仮想通貨取引所コインチェックCoinCheck)にハッキング被害がありました。総額は5億2300万XEM(580億円相当)、過去最大級のハッキング事件です。金融庁はセキュリティの甘さを指摘、業務改善命令を出す予定。

 

 

概要

 

総額: 5億2300万XEM(580億円相当)
保有者数:約26万人
補償方法:NEM保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金
補償金額:88.549円×保有

ハッキング発覚 1/26。同日記者会見。解決方針発表1/28。スピード解決。

 

 

経緯

 

問題解決にあたっては、Twitterでいろいろ意見が出ましたね。具体的な解決策を出す仮想通貨界隈のメインプレイヤーたちと、批判だけをする人たちと見事に分かれていたのが印象深かったです。

 

 

 

 

今後

 

ハックの原因追求と再発防止までに多少時間がかかると思いますが、コインチェック金融庁や警視庁とうまく連携して、営業を続けていってもらいたいと思いますし、実際そうなっていくと楽観しています。

 一部のマスコミではやはり無理解に起因する変更報道が出ていますが、これはいつものことだとスルーして、できることを淡々とやっていくことでしょうかね……。

 最後に、1月13日付けの日経に出ていた麻生太郎財務・金融相のお言葉を引用して終わりたいと思います。本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

 

(韓国政府が仮想通貨取引所の閉鎖方針を出したことで若者が猛反発した事件に関連して)

ビットコインなどの仮想通貨について「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」「利用者保護とイノベーションのバランスを注意しながらやっていかなければならない」(麻生太郎 財務・金融相)

 

 

 

 (1/29 20:10 追記)

 

1/29午後 金融庁の処分が発表され、記者会見が行われました。業務停止命令は出ず、コインチェックはセキュリティの体制や再発防止など、金融庁に報告しながら業務を進める見通し。

 

補償のため 500億円弱を支払うことになっても、外部から確認して資金繰りが問題ないとされたことは素直にすごい……。400億円あればスカイツリーがひとつ建てられるらしいですよ。

 

 

 (Δ1 2/3 19:50 追記)

 

2/3にコインチェックより出金再開の見通しについてアナウンスあり。

 

お客様がアカウントに保有している日本円につきましては、金融機関の顧客専用口座に保全されております。

・お客様がアカウントに保有している仮想通貨(BTC/ETH/ETC/LSK/FCT/XMR/REP/XRP/ZEC/LTC/DASH/BCH)につきましても、ホットウォレットから退避し、コールドウォレット等に保管しております。

 

2/2(金) の金融庁による立ち入り検査後のアナウンスなので、信頼性が高い内容とみられます。「本当に返金する資金があるのか?」「自己資金と顧客預かり資産を一緒に管理しているのではないか?」「空売りしているのではないか?」などの疑問へのシンプルな回答となっています。よかったですね。

 

日本経済新聞によると、12月のコインチェックの仮想通貨の取扱高は(ビットコインだけで?)3.2兆円だったそうです。うち1%が収益になると仮定したら320億円です。すさまじいですね。自分の頭にある常識というものをアップデートしないと生きていけないと感じます。

 

 

(Δ2 2/10 9:45 追記)

 

公式から発表があり、JPY出金は2/13からとのこと。

他コイン類は追って連絡。金融庁コインチェックが再発防止策提出し、その許可を得てから、という段取りになっている匂いがします。

 

ちなみに、NEMの補償金支払いについてはまだ未定。

 

 

 

 解決に向けて、着実に前に進んでいる感じがします。当事者たちにとっては怒涛の2週間だったんでしょうね。おつかれさまです。

 

 (Δ3 3/11 23:30追記)

3/8公式から発表があり、補償の目処に時期がついたとのこと。発表時点で来週とのことなので3/23が目処でしょうか。

これまでの批判や風評にも負けず、事業継続の強い意志が示されています。

 

(2)NEMの補償について
当社は、不正に送金されたNEM保有していたお客様に対する補償について、来週中を目途に実施いたします。詳細に関しましては、当社コーポレートサイト等で随時お知らせをいたします。
(略)
7:今後の当社の事業継続について
当社は、今後も、一時停止中のサービスの再開に向けて全力を挙げて取り組むとともに、金融庁への仮想通貨交換業者の登録に向けた取組みも継続し、事業を継続してまいります。

 

なおほぼ同時期に米SEOが仮想通貨を規制する(詳細未定)方針を出し、仮想通貨全般が下落中。Coincheckの再開は本来強いアゲ要因なんですけれど、これは仕方ない。

 

 

 

 

Δ4 3/12 20:00追記 

 

ようやくCoincheckに再起動かかりつつある。なんだかんだ言っても古参取引所なので、影響は大きそう。よかったですね。

 

再開日時:2018年3月12日(順次)
再開機能:一部仮想通貨の出金、売却(入金、購入は対象外となります)
出金再開対象仮想通貨:ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、BTC
売却再開対象仮想通貨:ETH、ETC、XRP、LTC、BCH

  

 

 

ついでにこんなニュース。  

 

中華系大手取引所のBinanceがつい先日ハッキング未遂にあったのですが、その犯人を挙げるために懸賞金をかけたという話。やられたらやり返す。一見野蛮なようで、一番の抑止対策ですよね。業界としての自衛にもなるし、しっかりしていますね。

 

Δ5 3/24 22:20追記 

G20とか、金融庁がバイナンスに喧嘩を売るとか、盗難NEMの追跡が終了するとか、いろいろあった週ですが、Coincheckでも動きがありました。

 

LSK、FCTの出金と売却再開。なお、匿名通貨系のXMR、ZEC、DASHはこのままお蔵入りになりそうだとの報道。

 

あとブログに書いていませんでしたが、NEMの補償が実施されました。先週でしたね。これでCoincheckもケジメをつけたことになります。500億円あればスカイツリー金閣寺が建てられるっていう話ですよ。なお、予告通りの補償金額で、当日の相場よりも高額な単価での補償でした。

 

補償日時:2018年3月12日中
補償金額:88.549円 × 日本時間2018年1月26日 23:59:59時点での保有
補償対象:日本時間2018年1月26日 23:59:59時点でNEM保有していたお客様

 参考:3月12日NEM価格(終値) XEM=41.26円

 

 

 

【 羊飼いの暮らし 】

 

詩人ワーズワースとその仲間たちが ”作り出した”した湖水地方

 

イングランドの北西部にあるその地域は、緑の渓谷に沿いに大小いくつもの湖が点在する美しい場所として有名で、地域全体が国立公園として指定されているとともに、世界遺産としても登録されている。

 

その地域ではローマ時代の昔から羊の牧畜が行われており、昔ながらの生活というだけでなく、文化的にも価値のある風景の一部として評価されている。

 

21世紀の今も羊飼いという職業が現存している。その日常を書いた本が、2015年、ニューヨーク・タイムズでベストセラーになった。著者はジェイムズ・リーバンクスさん。現役の羊飼いにして、オックスフォード大学を卒業した変わりだねだ。その日本語訳が発表されている。

 

 

始まりも終わりもない。毎日、太陽が昇って沈み、季節が移り変わる。陽の光、雨、霰、風、雪、霜とともに、日、月、年が過ぎていく。木の葉は秋に散り、春になるとまた青々と茂る。・・・(中略)・・・私たちはみんな、永続的ななにか、強固で、現実的で、真実に感じられる何かのほんの小さな欠片だ。農場を中心とした暮らし方は、5000年以上前からこの大地に根付いてきた。

 

絵画のような風景と詩的な出来事でつくられていそうな世界でも、動物相手の仕事は1年365日24時間、気が休まることがない。

 

スマートフォンが発明されても基本的なことは変わらない。経験とともに身につく知識と技術がすべてで、肉体的にも精神的にもタフじゃなければやっていけない。その上、羊飼いは金銭的に恵まれている職業でもない。

 

それでも羊飼いという職業を選ぶのは、「自分の人生をどう生きるのか」という問いの答えだからじゃないか。読み終わってそう思いました。

 

 

仕事で忙しい毎日を過ごしていて、何かを忘れて来てしまっているんじゃないか……と感じているような人に読んでもらいたい本です。

 

 

 

 

 

 

 

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

ブログも正月モードを抜けてぼちぼち再開しようかと思います。

動物のリアルに立ち向かう話を読むと、銀の匙とか思い出しますね。

 

 

 

 

 

 

帰郷

年末年始、わたしも人並みに帰郷していました。

 

こたつに入る食っちゃ寝ごろごろ、最高の三ヶ日でした。

 

そんな幸せな気分で初詣。

 

寝て祈って日々が過ぎる。生産性なんて何もないけれども、溶けるほどだらだら出来てとても幸福でした。1年のうちにこんな時間があるから、また頑張れるような気がしています。

 

まだお屠蘇気分で問題意識が吹っ飛んでしまって、何も書けませんけれど、弓の弦もときどき緩めるものですからね。2018年もまだ8日目、今年はふんわかと進めていきます。

 

 

 

仮想通貨が招く「未来の社会」 Δ1(1/29)

2017年、仮想通貨ビットコインが市民権を持った年となりました。世界の仮想通貨全体の時価総額は2017年1月時点で200億ドル程度だったものが、11月時点で2000億ドルを超えました。

 

仮想通貨については、価格や技術が多く取り沙汰されていますが、仮想通貨は、今後どのように社会で使われていくのでしょうか。

 

多くの言説は、仮想通貨はいつかドルや円のような法定通貨の代替品になると考えているか、もしくは、仮想通貨をただの投機対象として考えていると思います。しかし、わたしの考えは少し違います。

 

結論から入ることを許してもらえるならば、法定通貨と仮想通貨は両立し共存する社会になるとわたしは考えています。法定通貨はそのまま残り、法定通貨の枠内の中で、仮想通貨を使ういくつもの緩やかなコミュニティが出来上がると想像しています。

 

図にしてみれば、下記のような世界です。

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法定通貨が緩やかにこれまでの経済圏を維持するなかで、それぞれのコミュニティに特化した仮想通貨が適用され、コミュニティの結束の強化に貢献します。

 

例 

 

イメージが湧きにくいかも知れません。いくつか例を出しましょう。たとえば、あなたはメルカリで売買しているとします。押し入れにしまってあったバッグを出品し、通常日本円で支払いを受けます。でもこれが海外、アメリカとの取引と仮定してみましょう(いまのところありえませんが)。あなたはドルで支払いをされたら困るはずです。ドルは日本で使えませんし、円に変えれば目減りするからです。しかしここで仮想通貨で支払いを受けたら、問題は解消します。受け取った仮想通貨はそのまま別の何かに使うことができます。

 

もうひとつ例を出しましょう。東南アジア諸国の日本人同好会があるとします。会員は例えばタイ、ベトナム、マレーシア、シンガポールなどに駐在しています。シンガポールに住んでいるAさんが東南アジア情報誌か何かを電子書籍を発刊したとします。同好の士で共有したいがそれなりに費用がかかっているので、販売することにしました。このときに共通する通貨があったら便利ですよね。東南アジア域内を統合するほどで無くてもいい。数十人の同好の士で共有できる通貨があればいい。そんなときに仮想通貨が使えれば便利でしょうね。

 

特徴的な機能を持つ仮想通貨「アルトコイン」

 

ビットコイン以外の仮想通貨を、アルトコインといいます。草コインと呼ばれるようなプロジェクトの実態がないようなものを含めて、1000種類以上のものがあると言われます。

それぞれのアルトコインには、機能上の特徴があり、無事プロジェクトが成功したアルトコインは、その特徴にあったコミュニティに適用されていくと考えられます。

 

一部のアルトコインには、「通貨」という役割の他に、「何らかの付加機能」がつけられています。この「何らかの付加機能」が、コミュニティの特徴を促進する、ということです。

 

 

もっとも開発目的がわかりやすく、かつプロジェクトが具体的になっているアルトコインとして、リップル(Ripple, XRP)というコインがあります。

 

このコインは「送金の利便性」に特化しています。リップルを使うことで、送金時間の短縮と、手数料の削減を狙い、ブリッジ通貨に徹しています。

 

このリップルというコインがうまくいった場合は、「大量の送金」を仕事とするコミュニティ(=業界)のなかで便利に使われ、威力を発揮するようになるでしょう。そのうちにリップルを使う国際送金コミュニティとそうでないコミュニティとに分かれ、リップルを使うコミュニティは、リップルを使用することで得られる利益によって、結束を強固にすると思われます。

 

国内で通貨を扱う分にはあまり困りませんが、海外に送金するときの手数料というのは結構なものです。これが安くなるというのは大変素晴らしいです。

 

ネットバンクの登場でネットで開示されている送金手数料は安くなっていますが、世界に工場を展開する一部上場などは、メインバンクはやはりメガバンクのうちのどれかです。海外といってもアメリカや欧州のような送金インフラが整ったところばかりではありません。たとえばアフリカのモロッコと日本との間でお金を送らなければいけないこともあります。モロッコ現地法人が、コア部品を日本の本社から輸入し、モロッコで車を組み立て、スペインで売る……みたいな感じです。想像になりますが、日本の本社へ毎月数億円の支払いがあっても不思議でないでしょう。このとき、送金手数料の他に、中継銀行のリフティングチャージ・受け取り側の銀行の手数料・両替する場合はスプレッドが費用として存在します。(継続して送金することがわかっている場合、銀行が割引送金条件を提示してくれたりしますが…)

 

どの程度にリップルが使われるのか、それは各銀行のプロジェクト次第になりますが、実装されれば海外送金手数料がぐっと安くなる上に、送金インフラの信頼性が向上します。そうなれば、日本企業は海外進出がしやすくなるでしょう。

 

リップルとの提携企業は東京三菱UFJ銀行や米アメックスなどの大企業も名を連ねており、「送金コミュニティ」でリップル(とそのネットワーク)が活躍してくれそうな予感がしています。

 

特性を持ったアルトコインたち ETH、NEM、WAVE、BNP

 

プラットフォーム性を全面に打ち出したコインもあり、イーサリアム(ETH)がこれに当たります。スマートコントラクトと言う概念が導入されており、わたしの理解によると、コインのやり取りに「契約を盛り込める」というものです。契約書とコインが一体になった魔法のコインです。スポンサーの顔ぶれが豪華で、マイクロソフトインテルIBMトヨタなどが並んでいます。これらの大企業が仮想通貨を利用したサービスを展開するときには、イーサリアムはインフラコインとして機能することが期待されていそうです。またこれらの企業連合が、サービスで顧客の囲いこみをするときにイーサリアムをキーパーツとして使えば、簡単にその目的を達成できるでしょう。

 

他に、スタートアップ企業の資金調達を助けるのに最適と思われる、ネムNEM)やウェーブ(WAVE)といったコインもあります。

 

スタートアップ企業が資金調達に苦しむのは万国共通だと思います。最初に自分がお金を準備する他、直接出資者を募る、市場で株式・社債を販売する・融資を受ける・クラウドバンキングによって資金を集める……などの方法があります。しかし旧来型の資金調達はお金だけでなく、おまけがついてくるのが通常です。つまり経営やお金の使い道について制限を受けるのです。誰もタダでお金をくれる人なんていません。出資者はスタートアップが成功することで得る株式価格の上昇や配当、あるいは利息の支払いを期待しています。クラウドバンキングでさえ、リターンを求められます(この点で、リターンを求めず、募集者への信頼を疑似証券化してお金を集めるVALUというサービスは画期的でした)。

 

ネムやウェーブといったコインは、トークンを自由に発行する機能がついています(DEXと言うらしいです)。トークンを買ってもらうことで、株式上場に近い効果が期待できます。つまり、スタートアップはトークンを販売することで現金を得て、トークン購入者はトークン価格上昇による利益を期待でき、もしくはスタートアップが準備するトークンと引き換えにできるサービスを期待できることになります。
 

あるいはバンクエラ(BNP)のような配当型のコインも面白いかも知れません。コインには、購入者に提携取引所の利益を分配する機能をつけています(ちなみにイーサリアムベースのコインです)。ここまで行くとほぼ株式ですが、株式と異なる点は、「議決権がない」「配当が容易(提携取引所に口座があればいい)」という特徴があります。配当が容易だからこそ、毎月のようにコインの持ち分に応じたイーサリアム(ETH)が提供されているのだと考えています。

 

 

仮想通貨と”価値主義 ”のかかわり

 

佐藤航洋さんが著書「お金2.0」で、『価値主義』を提唱されました。

つまり、今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。

(中略)

可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。 

 

ざっくりとわたしの理解で説明すれば、資本主義ではお金にならないものは価値がなかったが、これから来ると思われる価値主義の世界では、今までお金に変わらなかった、直接は価値を持たなかったものも、ちゃんと評価される世界が来るよ、という話です。

 

佐藤航洋さんは、価値主義における価値の例として、ツイッターのフォロワー数。ソフトウェア会社における人材、データ。企業における働きやすさ、などを例にあげています。西野亮廣さんが「革命のファンファーレ」で提唱した、信用=お金だという「信用経済」も、価値主義に包括される概念だとわたしは考えています。

 

一般論ですが、人の価値観はそれぞれです。大体の傾向として世界の価値観は多様化しており、矛盾する価値観も同じ時間軸に同時に存在できるようになりました。それは社会が豊かになったという証拠でもありますが、ここで言いたいのは、インターネットという技術が、価値観の多様化を促進したということです。インターネットが地域的に離れているけれども同じ価値観をもった人たちをつなぎ合わせ、オンライン上でのコミュニティの成立を可能にしました。

 

同質の価値観を持った人たちが集まるコミュニティでは、コアになる特定の価値(共同幻想)が重要視される集団が形成されます。

 

例えば、あるアイドルやユーチューバーのファンクラブとか、アートが大好きな人たちの集まるサークルとか、地域おこしのために活動するNPOとか。

 

特定のコミュニティでの価値観を表現するために、独自の通貨があれば、コミュニティ特有の価値観をさらに強力に後押ししてくれることでしょう。その独自通貨を持つこと自体が構成員にとって価値であり、名誉ですらあり、独自通貨の保有がコミュニティへの帰属心を掻き立てます。その独自通貨に、仮想通貨を採用する。あるいは自分たちで作る、というのは面白い話だと思います。

 

 

 

 


本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

 

やっぱり新しい概念の未来図を提案するのは難しいですね。

 

あげた具体例も最適というにはちょっと遠く、力不足を感じています。

 

まだまだ考え続けたいと思います。

 

 

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(履歴)

2017年12月31日 初出

2018年1月29日  Δ1版