この世はしょせん夢芝居

ネット的世界の端っこで考えたことを書き留めているだけのブログ。

「トークン」とは何か。調べてみたので結果を報告します。

 

トークン(Token)。

 

仮想通貨界隈でよく聞く「トークン」という言葉ですが、これが一体なんなのか? ずっと疑問でした。

とりあえず、特定の仮想通貨から生成できるもので、さらに機能については明確に説明されているのでわかります。

最近、イケハヤさんが記事にまとめていましたね。わかりやすく「トークンの5分類」を解説するよ。 : まだ仮想通貨持ってないの? 明快でわかりやすいです。

 

しかしこれはトークンを機能という一面から説明しただけで、まあ現代で使う分には充分なんですけれども、「そもそもトークンとは何なのか?」という自分の疑問は解消できませんでした。

 

そういうわけで、レッツ調査。

 

1. 辞書によると

 

英和辞書でTokenを調べると

1 しるし,象徴; 証拠
  as a token of my appreciation 私の感謝のしるしとして.
2 記念品,形見; 証拠品.
3 (地下鉄・バス料金などに用いられる)代用貨幣トークン.
4 [通例修飾語を伴って] 《主に英国で用いられる》 (商品との)引替券. 

 

それから、Wikiを調べると

トレーディングカードゲームにおいて、カードの効果によって生み出された手駒(クリーチャー、ユニット、モンスター等)を示す目印のこと。

 

しるし、代用貨幣、手駒を示す目印。

うーん、わかるようでわからない・・・もやもやする・・・・・・。

 

 

2. キーワードは「文字以前」「シュメール文明」

 

シュメール文明」をご存知でしょうか。簡単に説明しますと、紀元前3500〜3200年頃にメソポタミア南部に興った最古の都市文明です。この都市文明からウルク古拙文字と呼ばれる文字が生まれてくるのですが、その文字の発明以前に使われていたのがトークンです。トークンは計算具として使われていました。(参照:世界の文字

 

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トークン写真(http://www.usu.edu/markdamen/1320Hist&Civ/chapters/16TOKENS.htm

 

トークンは1センチ程度の大きさの、様々なかたちをした粘土片だそうです。(実際には焼いてあるので焼き物、陶片という表現のほうが実感としてわかりやすいと思います)

 

さらに参照したサイト:世界の文字では、下記のような指摘をしています。

 

1977 年以後,シュマント=ベセラット(Denise Schmandt-Besserat)はウルク文字の起源について,次のような指摘を行っている。ウルク文字に先行する段階として,紀元前 9 千年頃からすでに,イラク,イラン,トルコ,シリア,イスラエルパキスタン,インド,エジプトなどの広範囲にわたって記録用粘土標(クレー・トークン clay token)が記憶の補助手段として使用されていた 

 

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というわけで。

 

でもトークンの起源が紀元前9千年にあり、その指摘が1977年(結構最近)にあったということがわかりました。

 

そして、トークンは計算具記録用粘土標だということです。そのトークンが文字になった、と……。

 

さすが教科書記述。いったいなんのことやらという感じですよね。

 

 

3. 補完される情報

 

歴史を変えた6つの飲物  ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史 という本があります。ちょうど読んでいた手持ちのこの本に、トークンについての記述がありました。ちょっと長いですが引用します。

 

税としてなにを納め、対価としてなにを支払ったのかを記録しておく必要があった。そこで税の領収書として考えられたのが、土の”封筒”にトークンを入れておくという方法である。この土の”封筒”は粘土で貝殻状に作ったブッラと呼ばれるもので、揺すると、なかにいれたトークンが転がって音を立てた。穀物、布地、あるいは個々の家畜の標準的な量を表すのに、さまざまな形のトークンが使われた。なにか物を神殿に納めると、それに見合うトークンが土製の封筒に入れられた。そして、なかのトークンと税として納めた品が合っていることを示すために、徴税者と納税者がそれぞれの印章を封筒の土の湿った部分に押した。そのうえで封筒は神殿に保管された。

 

なるほど! ストーリーの辻褄は合いました。つまりはこういうことでしょう。

 

たとえば。

村人Aさんが神殿に穀物と布地と牝羊を1単位ずつ納税した。

本来、領収書の発行、あるいは納税台帳に記録がされるべきですが、残念ながら文字がまだ無い時代、納税書類は発行できない。かといって記録しないとあとで揉め事の種になる。

なので、納税した分だけ、それに対応する粘土片を土封筒に封入し、それを記録にした。

この場合は、神官が、穀物トークン1つ、布地のトークン1つ、牝羊のトークン1つを村人Aさんのために発行。

そして、記録として保管する……。

 

トークンは意味を持った粘土標で、ひとつひとつが穀物や布地や牝羊、その他に数詞の意味を持っています。これを封筒に封入することで意味を組み合わせ、現代でいう納税証明書や領収書、他にも借用書として機能していたようです。前項のトークンは計算具で記録粘土標だという定義にも当てはまりますね。

 

トークンは1形状で1つの意味を表すようですが、複合トークンのようにくっつけて上級の意味をもたせたりもしたようです。さらに複数のトークンを1つの封筒に入れられるのであれば、領収書よりも複雑な契約の覚書のようにも機能させることができていたのかも知れませんね。このあたりは考古学的なロマンですな。

 

そして紀元9000年から使われていたこのトークンですが、紀元3500ー3200年ごろ、「トークンをいちいち土封筒に入れて保管するのは面倒だ。トークンを粘土板に押し付けて、印をつけて、それを記録っていうことにしておけばよくね?」ーーと考えた人がいたのかどうかわかりませんが、とまれ、トークンからより便利な「文字」が発明されました。トークンはこうして本来の意義を失ってその姿を消していくとことになったわけですね。

 

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(記録用粘土標=トークンが、「文字」に変わっていく)

 

4. まとめ トークンとは

 

まとめると。

・元祖トークンは粘土片

・計算具・記録用粘土標として使われていた

・文字の発明よりも前のすっごい昔に、文字の代わりに使われていた。(たぶん)原則的には1形状で1意味。布地トークンとか牝羊トークンとかある

・土封筒にまとめられて、納税証明書や領収書の代わりになっていた

 

 

ということです。

 

歴史的なトークンの使われ方を踏まえると、しるし、代用貨幣、手駒を示す目印 という意味が派生してきたのはわかりますね。

 

粘土片である牝羊トークンは、牝羊というナマの存在価値に対応する、記録媒体だったとも言えるでしょう。価値の記録媒体としてのトークンを流通させれば、それは通貨の代わりとしても使えただろうことも想像できます。もちろん、使用者も交換対象も制限されて、現在の通貨ほど便利なものではなかっただろうことは前提ですが。

 

仮想通貨から派生するトークンは、様々な意味や役割を、デジタル物質に付与することができます。紀元前のトークンとはさすがに比べ物にならない便利さです。現代のトークンが充分に活用できるように環境を整備していきたいものですね。

 

 

 

 

 

本日は当ブログにお越しいただきありがとうございました。

記事をまとめるのに結構時間がかかってしまいました。