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水素スタンドの建設計画のニュース。透けて見えたトヨタの思惑

 

昨日の報道なのですが、水素スタンドを11社連合で建設推進する計画が出たそうです。トヨタ自動車やJXTGエネルギーなど11社は、2022年3月末までに水素ステーションを国内80箇所に共同で建設。これにより国内ステーション数は倍増の見通し。

 

トヨタの他にも、日産自動車やホンダ、出光興産、東京ガス岩谷産業豊田通商日本政策投資銀行などの11社が出資。来春にも共同出資会社を設立するそうです。

 

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水素は、燃料電池車(FCV)の燃料。FCVとは、水素を車で分解し電気にしてモーターで走る車です。

 

マツダと提携して内燃機関を確保する一方で、ミライ(MIRAI)など電気自動車(EV)の開発を進めているトヨタ。しかしながら、やはり本命は水素の燃料電池車(FCV)だと再認識させてくれる報道です。

 

なるほど世界レベルの大企業。全方位に気を配りながら独自路線も押し通す余裕がさすがです。

 

今年10月の東京モーターショーにも出展した水素で動くバスも2018年から発売を予定、グループ会社のトヨタ織機も水素で動くフォークリフトの販売を拡大するなど、まずは産業用からの普及を目指すということで、ごりごり来ています。

 

ちょうどテスラは新車の開発が遅れ、発売延期になったこの時期のこの動き。トヨタも黙って負けてはいないというところでしょうか。

 

とまれ、日本政府は30年までにFCVやEVなど次世代自動車が新車販売に占める割合を5〜7割に引き上げる計画とのことで、やはり内燃機関車から次世代の車へ切り替わっていく流れはとまらないようです。

 

 

やはりトヨタの本命はFCV


中国・欧州がEV化へ年次目標を示し、相次いでEV化へ舵を切るなか、トヨタが打ち出すFCVという独自路線。

 

なかなか熱いですね。FCVは水素を電気へ変換して走るので、EVと互換できる技術や機構が多い。もしFCVの時代が来なくても、EVにすぐに切り替えることができてリスクが少ないというところも、独自のFCV路線を推し進められる理由でしょう。

 

ところで、FCVとEV、燃料以外には何が違うの? というところですが、ユーザー視点から見た時に一番重要な違いは、燃料の「充填時間」が違いとしてあげられるでしょう。

 

EVは航続距離という弱点を克服しつつありますが、充電時間が長いという弱点があります。急速充電の技術の開発は進んでいますが、それでもやはり満タンにするまで30分〜1時間はかかる。技術的にはかなり進んでいるのですが、実際にEVを使う身になって考えてみれば、時間に余裕があるときばかりでなし、急ぎのときは困りそうですよね。

 

しかし、その点、水素なら水素をしゅーっと封入するだけなので、今までのガソリン車と同じような使い勝手が再現できます。なのにガソリン車とは違って排出するのは水のみ、完全クリーンです。

 

 

 

 

2匹めのどじょうならぬプリウスを狙っているトヨタ

 

突然ですが、トヨタの顔とも言えるハイブリッド車プリウス」が、今年何歳だかご存知でしょうか。

 

TV CMもしていたのでご存知の方も多いと思いますが、1997年に量産発売されたので、2017年の今年は20歳。発売当時は、「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーで売られた未来感のあるハイブリット車ですが、いつの間にかもう立派な大人です。

 

当時ーー20世紀末のことですがーーモータリゼーションの進展とともに問題となかった公害事件を受けて、自動車メーカー各社は「エコでクリーン」な車を作る技術を競っていました。EVも当時からありましたが、航続距離が課題で実用化はまだまだ先、という結論になりました。ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド技術は、理論上では現実解のひとつでしたが、モーターとエンジンを同時ないし交互に駆動させる技術機構が極めて難しく、欧州では実現不可能として諦められました。その後、欧州はエコカーにはディーゼルエンジンを採用。だから欧州車はディーゼル車が多いんですね。

 

しかしトヨタはハイブリッド技術を諦めませんでした。そしてついにハイブリッド車の本命であるプリウスを発売。しかしすぐに売れたわけではありません。1997年に発売し、国内販売台数100万台に至ったのは、発売から10年以上たった2010年(*)でした。その後、7年でぎゅーんと伸びて500万台に乗る大ヒット。

 

ヒットまでの間は、日本はともかく世界市場からはハイブリッドはダメだと散々ディスられましたが、大きな事故もなく世間に受け入れられ、苦節10年を経てプリウスは大ヒット車となりました。

 

この成功体験をもう一度! というのが、トヨタの本音なんでしょうね。昔、ハイブリッド技術は非主流で劣勢の位置に居ました。今のFCVに重なると言えば、重なります。

 

自動車の技術変更は自動車業界だけでなく、日本の、いえ世界の産業構造に変化を与えるインパクトがあります。なので自動車の技術レースはとてもエキサイティングですね。どんな結果になるか、興味を持って見守っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございました。

未来は、覗こうと思ったひとにはその姿を見せてくれるものですね。

 

 

 

(*)部分は、日経トレンディ記事を参考しています。