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この世は所詮 夢芝居

食べ物。日常。本。エッセイ。海外旅行。そんな感じ。ゆるふわなチラ裏を目指したい。

夢は見たりて? (銀河英雄伝説) <今日の書き抜き>

企画:今日の書き抜き

 

思考するきっかけってどんなものでしょう。珍しいことを体験したらそれを考えたくなる。問題を見たら考えたくなる。いやいや、道を歩いているときにふと降ってくるように思いつくだけ。世の中いろいろなパターンがあると思うのですが、僕は「言葉」に反応して思考することが多いです。

 

いわゆる名言なんかがそうですし、小説の一節、単語、漫画の台詞なんかでも反応します。一見難解と思われる言葉や、ダブルミーニング的な言葉にどうも僕は反応しやすいようです。

 

ひとつの台詞に引きずられながらページをめくり、物語の本筋をうっかり忘れてしまうなんてこともしばしばです。思考に没頭してついつい日常生活がおろそかになってしまうこともあります。まあ、ダメな人間です。

 

しかしせっかく思いついたことなのだから記録ぐらい残しておきたい。ということで、僻言節句を切り取った思いを綴っておく企画を考えました。<今日の書き抜き>シリーズということでどうでしょう。

 

夢は見たりて? (銀河英雄伝説

 

「夢は見たりて?

 子供には夢を見る

 時間がとても多く必要なの」

 

「全然足りないよ」

 

 

今日購入して読んだ銀河英雄伝説(原作:田中芳樹 漫画:藤崎竜)の1巻から抜粋。

 

零落貴族の美しい姉アンネローゼが、まだ幼い弟ラインハルトを起こすシーン。フジリューこと藤崎竜さんが描くお姉さんが本当にキレイ。藤崎さんはサイコプラスのころから好きな漫画家さんで思い入れもあるのですが今は割愛。

 

ちなみに、「夢は見たりて?」は堅い表現なので、文脈がないとわからないかも知れないので補足します。これは漢字化すると「夢は見足りて?」。つまり「(よく眠って)充分に夢を見ましたか?」ということですね。

 

話を戻すと、このあと美しい姉アンネローゼはすぐに皇帝より召されて、姉弟は離ればなれになります。弟ラインハルトは皇帝からの姉の奪還を誓いますが、力が足りないことをよく自覚しているため、まず貴族幼年学校に入学し、雌伏の時を過ごします。それは10歳の少年が大人になるための「夢」のような期間だったのかも知れません。「夢は見たりて? ーー全然足りないよ」というやり取りは、貴族幼年学校時代が訪れることのメタファー、隠喩なのかも知れません。

 

 

 

 

銀河英雄伝説 1 (ヤングジャンプコミックス)

ちなみに PSYCHO+ 1 DRIVE A GAME START ジャンプコミックス

 

 

 

 

ところで、僕が思うこと。

 

ところで、僕が大人になってつくづく思うには、「人は自分でできないと思っていることは、決してできない」ということです。

 

いくら他人ができないと言っても、自分でできると信じ、努力した人は偉業を達成します。しかしそれは普通はできないから偉業なのであって、普通の人間は成長とともに自分の限界に見切りをつけ、やがて偉業に挑戦することを止めていくのです。

 

どこに普通の人と、偉業を達成する人とに差が出てくるのか? 要因はいろいろあると思いますが、僕は、「そのことをどれだけ強く願ったか、欲したか」ということは、重要な要因のひとつだと考えています。 

 

偉業を望むことは、子供のころならば「夢」と言われますが、大人になれば「妄想」「身の程知らず」に変わります。それがどのようなものであれ、世間で偉業と呼ばれるものは達成するのが難しいのが常ですから、求めていく過程で失敗するのが当たり前です。そこを乗り越えていくことが大切だと思うのですが、しかし痛い目にあったとき、あるいは周囲の反対にあったときに、普通の人は「夢」から覚めてしまうのです。でも夢から覚めない人は、きっと「子供」のころに「夢を見る時間がとても多く」あったのでしょう。だからちょっとやそっとの障害では「夢」から覚めることがない。

 

夢には眠って見るものの他に、起きて見る夢があります。起きている間にたくさん夢を見た子供が、大人になってその夢を叶えているのかも知れません。起きている間に見る夢は、心の強さを育てる。だから「子供には夢を見る時間がとても多く必要」なのではないでしょうか。

 

そんなことを踏まえて、もう一度、台詞を味わってみてください。「のちに獅子帝といわれるラインハルト」に向けられた言葉。またちがった奥深さを感じてもらえれば嬉しいです。

 

 

 

 

「夢は見たりて?

 子供には夢を見る

 時間がとても多く必要なの」

 

 銀河英雄伝説 1 (ヤングジャンプコミックス)