フィデル・カストロ議長の訃報
キューバという国に、それほど思い入れのある世代に私は属していない。今50代くらいの人がドンピシャなのではないだろうか。私がキューバと聞いて思い浮かぶのは、カリブ海、革命、キューバ危機(ケネディ)、かっこいいアメ車の街、高級葉巻(コイーバ)、野球、砂糖プランテーション、チェ・ゲバラ、フィデル・カストロ……。
日本とはそう関わりの無い国だけど、嫌いな人はそういない、陽気な国。そんなイメージだ。
革命を成功させた英雄たちの中で、フィデル ・カストロ議長は、チェ・ゲバラに比べて、ちょっと地味というか、人気の無いイメージがある。これはフィデル ・カストロが権力を握り、現実的に生きなければならなくなったのに対し、相方だった理想主義者のチェ・ゲバラはあくまでも理想を追求し、権力も富も放棄し、別の国で革命を起こすことを求めてキューバを去ってしまったからだ。しかも彼は、そこで革命の遂行中に夭折してしまった。どこからどう見ても、これ以上ない英雄的な行動だと言っていい。まあ、先に伝説になった英雄と比べられたらカストロ議長だって分が悪い。
しかし現実主義者や実務を回す人がいなければ、現実世界は回っていかない。多少地味でも人気がなくてもだ。しかもキューバは1959年の革命から、最もアメリカに近い社会主義国家として、ずっと米国からプレッシャーを受けてきた。その国のトップとして現実の様々な困難を捌いてきただろうカストロ議長には、余人にはちょっと想像できない苦労があったと思う。
とにかく冥福を祈りたい。議長の詳しいことが知りたい人は、チェ・ゲバラ伝を読めばいいと思う。